上高地 徳澤 10月3日
16年ぶりの上高地である、わずかに覚えていたのは、カッパ橋、明神、徳澤、横尾だけで記憶が線にならない、ハルニレ、トウヒ、ダケカンバなどの林の中を進めば甘い香りがする、梓川に沿って遡上するにつれ、前穂高のピークが沢山の険しい峰々に分かれてゆく、薄暗くなり、その峰々に夕日が差し始めたころ、ちょっとした峠にさしかかる、明神と徳澤の中間付近であろう、蛇行する梓川が残照に照らされ、川面が輝いていた、闇が迫る前の甘く切ない情景です。
10月4日 徳澤の朝
テント泊をし、朝早く目覚めると、まだ月が残っていた。
前穂高の峰の先端に赤い灯がともる
薄もやの森に射光が走り、立ち昇る蒸気の揺らぎを捕える、この光景も長くは続かず、あまねく光が行き渡り、徳澤は登山客で賑わいはじめる。
前穂高
屏風の頭
北穂高
涸沢
山の天気は変わりが早い、朝の快晴が嘘のように今にも雨が降りそうだ、慌ててテントを設営する。
夜はすさまじい雨となり、寝袋を濡らしてしまい、2泊する予定を1泊で切り上げる。
上高地 10月5日
久しぶりの荷物がこたえ上高地についたころは
荷物を放り出したいほど疲労困憊していた。
10月6日 霧ヶ峰 車山に登る
足を痛めて険しい山はあきらめ車山に登る
10月7日 深い霧が立ち込め、蓼科山登山は危険ゆえ高原をめぐる
尾瀬 10月8日
夜が白み始めるころに尾瀬ヶ原に降り立つ、雲が低く垂れ込め、今にも雨がふりそうである、木道を進むうちに、明るさが戻ってきた、尾瀬はすっかり冬支度を終え荒涼としている。
湿原を彩った花は今はなく その妖精の抜け殻がおびただしい
紅葉は色あせ、残葉も僅かとなる その葉もあと一嵐で枝から離れよう
水の流れは清く変わらず その流れは落ち葉を乗せて速い
青い池糖に浮かぶオゼコウホネ その葉の水玉を風がもてあそぶ
木道には人が賑わい その賑わいにゆく秋をしのぶ
葉を落とした白樺はさらに白く その白さが来る雪を告げる
池糖に浮かぶオゼコウホネ
草もみじ
帰路 白川郷、五個所による 10月10日
稲の刈干の最中である、干された稲が、合掌造りの屋根によく似合う